まだ観ていない映画「国宝」の話
去年は、ほとんど映画を観に行くことができなかった。
以前は、毎月のように映画を楽しんでいたのに。
忙しさに追われていたのか、気持ちに余裕が持てなかったのか。
「映画を観る」という楽しみは、いつの間にか後回しになっていた。
去年から大ヒットしている映画「国宝」。
6月の公開日を楽しみにしていた作品でした。
子どもたちはすぐに観に行って、感想を話してくれた。
主役のどちらに目を引かれたか、それぞれの思いを語っていた。
そんな話を聞くのも楽しかった。
それなのに、私はまだ観に行けていない。
去年の8月
「明日、国宝観に行ってくるね」
そう子どもに話した日。
子どもはバイト終わりに「でっちあげ」
という映画を観てきたばかりだった。
正式なタイトルは「でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男」
実際にあった出来事をもとにした作品で、好きな俳優さんも出ているらしい。
小さい頃から、時々一緒に映画を観に行ってきた。
私が「この映画、良かったよ」と伝えると
子どもも後日観に行って感想を話してくれる。
映画と原作本の両方を楽しんだり
どちらを先にするか迷ったり。
原作本を子どもも私も持っていたり。
いつの間にか、映画は親子の共通の話題になっていた。
その日も夕食を食べながら
「内容話していい?」
と、少し興奮気味に話し始めた。
「あなたはどこに違和感を感じる?」(子どもは私のことを「あなた」と呼ぶ)
「ハーフってことに、何かこだわりがあったと思うな」
「それは誇りだったのか、それともコンプレックスだったのかな」
そんな会話が続く。
気づけば、ほとんどの内容を子どもから聞いていた。
「わかった、わかった。確かに面白そうだね」
そう言うと、少し間をおいて子どもが言った。
「明日、国宝じゃなくて、でっちあげを観てきて。あなたの感想を教えて」
えっ…
もうだいたい内容は聞いたのに、と思いながらも
「あなたの感想を教えて」と言われると、それを断ることはできなかった。
次の日、私は「国宝」ではなく、「でっちあげ」を観てきた。
スクリーンを見つめながら
子どもはここで何を感じたのだろう
どうして私に観てほしかったのだろう
そんなことを考えていた。
そして少しだけ、その理由がわかったような気がした。
9月になっても、なかなか映画館へ行けずにいると
よく一緒に映画を観に行く友達から連絡をもらった。
「国宝、すごく良かったよ」
「まだ行けてないけど、今度行こうと思っている」
そう返すと
「もう一回観たいから、一緒に行こう」と誘ってくれた。
夜勤明けの日しか都合が合わず
「明けでそのまま行こう」と決めて、チケットも取ってくれた。
けれど、その日に限って急な仕事の予約をいただいた。
今の私にとって、どうしても大事にしたい仕事。
友達には申し訳ないけれど
結局キャンセルすることになってしまった。
こうして私は、また「国宝」を見逃した。
毎年楽しみにしている日本アカデミー賞授賞式。
テレビの前で、子どもたちと
「一度でいいから、会場で見てみたいね」
と話す。
チケット代は高額で、倍率も高くて
きっと簡単には手に入らない。
それでも、そんな話を毎年している。
もし子どもたちと一緒にあの場所に行けたら
どんなに特別な時間になるだろう。
そんなことを想像してみたりする。
せめて、その授賞式の日までには「国宝」を観に行きたい。
ここまでロングヒットしている作品を
ようやく観たとき、私はどんな気持ちになるのだろう。
きっと、映画のことだけではなくて
ここに来るまでの時間、子どもとの会話
友達との約束、そして仕事のこと
そのすべてが一緒に込み上げてくるのだろう。
皆さんは、もう「国宝」観ましたか。
私のタイミングは、もうすぐかもしれません。
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