心理を学ぼうと思ったきっかけ

私が心理を学ぼうと思ったきっかけは、
子どもが部活の強豪校に進学し、その保護者として役割を持ち、
保護者会に関わるようになったことでした。

伝統があり、結果を求められる環境の中で、
子どもも親も人間関係は想像以上に複雑で、私自身、悩むことも多くありました。
子どもを中心に集まった人間関係、長年積み重ねられてきた価値観、
そして、結果を出し続けていかなければいけない重圧感。
そのすべてが絡み合う独特の空気感の中で、私たち親子も飲み込まれていきました。

それまで、学校が大好きだった息子。
毎日本当に楽しそうで、明るくひょうきんだった息子の口数がどんどん減り、
息子の個性が少しずつなくなっていくのを感じていました。

それでも、大きな大会に出場し、結果を出す。
その大事な一員として活躍している息子。

遠く離れた練習場まで車で送り迎えをしながら、
その空間の中では、自分のこと、好きな人のこと、部活のことなどを話してくれました。
そんな息子との時間を、私はとても大切にしていました。
それくらいしか、私にはできませんでした。

二年生になった息子のある行動がきっかけとなり、
それが問題として取り上げられ、息子たちへの扱いが変わってきました。

子どもが一人の人間として成長していく過程を、大事に見守ってはもらえないだろうか。
つまずき、立ち止まり、反省しながら成長していけばいいのではないか。
しかし、その想いは届かなかった。
私はとても悔しかった。これから息子がどんな思いをしていくのか。親として、本当に苦しかった。

私は息子と何度も話し合い、
「これからどうしていくか」と二人で考えました。
息子は「ここに留まるわけではないから、卒業までここで頑張る」とはっきり言いました。
そして、「お母さんが嫌な思いをするなら、役員の仕事は辞めてもいいよ」とも言ってくれました。
「あんなこともあったね!と笑って一緒に卒業しよう!」そう二人で約束しました。

さまざまな立場の人の想いや、守りたいもの。不安や焦り。
それらが重なり合い、やがて一つの大きな波のようになって、
私たちを飲み込んでいったように感じたのです。

そしてある瞬間、その波が一気に形になり、
すべてが止まったと感じるような出来事が起こりました。

伝統校としての流れ、積み重ねられた記録、努力してきた時間。
そのすべてが、ふっと止まったあの瞬間、私は大きな衝撃を受けました。

「人の想いや行動は巡り巡って、自分に返ってくるのかもしれない」
「これは偶然ではなく、起きるべくして起きた出来事なのかもしれない」
そんなふうに感じました。

 

卒業後も、私の中には
「あの経験は何だったのだろう」という問いが残りました。
とにかく悔しかった。
でも、それだけで終わらせたくなかった。

あの出来事は、
人の想いが複雑に絡み合って生まれたものだったのではないか。
そう思うようになりました。

なぜあの立場の人たちは、あのような判断をしたのか。
どんな思いを抱え、どんな価値観で動いていたのか。
それを知ることができたら、あの経験は「負の経験」ではなくなる。
あの経験をなんとかプラスにもっていきたい。
そう思ったことが、私が心理を学び始めるきっかけになりました。

あの経験があったからこそ、
人の心の動きに目が向くようになり、
その人の背景を想像するようになりました。
そして今、心理カウンセラーとして人と向き合っています。

あの出来事は、
私にとって苦しい経験であると同時に、
人生の流れを変えた大切な出来事でもありました。

ひたむきに部活と向き合う息子がいたから、乗り越えられた。
意外と大人だった息子がいたから、今の私がいる。
そう感じています。

投稿者プロフィール

酒井 のり子
酒井 のり子
あなたが、あなたらしくいられるように、そのお手伝いができたら、とても嬉しく思います。

コメントはお気軽にどうぞ